不動産豆知識〜第1回【地価・マンション価格動向】

不動産市場の動きを路線価から見てみましょう

全国平均で地価の下落幅が縮小となり、3大都市圏では上昇の動きが鮮明になってきました。

本年も国税庁から2015年の路線価が発表されました。路線価とは、相続税や贈与税を算出する際の基準となる地価のことです。
毎年1月1日時点の地価を基に一連の宅地が面している道路ごとに1平米当たりの単価を定めています。
 地価の調査地点のうち住宅地や商業地、工業地などの標準宅地の前年からの変動率は、全国平均でマイナス0.4%。7年連続の下落となりましたが、下落幅は前年より0.3ポイント縮小しました。
 都道府県別では首都圏1都3県や大阪府、愛知県などで平均値が上昇しています。全国で上昇率が最も高かったのは、東日本大震災からの復興関連で土地の需要が高まった宮城県で2.5%の上昇。次いで福島県が2.3%のアップでした。この2県と沖縄県(0.3%アップ)を除くと、平均で地価が上昇したのはほぼ3大都市圏に限られます。
 今年の路線価の動向について、東京カンテイ市場調査部主任研究員の高橋雅之さんは次のように分析しています。
「3大都市圏以外でも、札幌や仙台、広島、福岡といった中核都市や、北陸新幹線の開業で賑わう金沢や富山などでも、中心部の駅前では地価が上昇していますが、周辺部までは上昇が波及していません。人口減少の流れもあり、地価上昇が都市の中心部に集中しているのが、今の不動産市場の特徴といえるでしょう」
参考データ:神奈川県横浜市の路線価について

東京オリンピックの開催決定や外国人観光客の増加も地価を押し上げ

 首都圏では、東京都の標準宅地の平均値が2.1%上昇し、前年の上昇率を0.3ポイント上回りました。
また千葉県の上昇率(0.3%)も前年より高くなっています。一方で埼玉県は上昇率0.1%で前年と変わらず、神奈川県は0.6%と東京都に次いで高い上昇率ですが、前年より縮小しています。
「2013年にマンションなど住宅の実需が伸びて売買が活発化したため、昨年の首都圏の路線価も上昇しました。しかし2014年は消費増税の影響などで実需が伸び悩んだこともあり、都心近郊や郊外エリアの地価上昇が抑えられたようです」(高橋さん)
 一方で都心部や周辺エリアの中心部では地価上昇の動きが顕著です。東京都では中央区銀座5丁目の銀座中央通り(鳩居堂前)の上昇率が14.2%で、都道府県庁所在都市の最高路線価で全国一の上昇率でした。また川崎市の川崎駅東口広場通り(9.3%アップ)や横浜市の横浜駅西口バスターミナル前通り(7.1%アップ)、さいたま市の大宮駅西口駅前ロータリー(7.1%アップ)でも高い上昇率となっています。
「都心部では2020年のオリンピック開催決定で再開発の機運が高まったほか、秋葉原や浅草など、東アジア方面からの観光客や買い物客の多いエリアでも地価の上昇が強まっています。インバウンドの訪問客が増えることで、店舗やホテルの需要が高まることが、地価上昇につながっているようです」(同)
(データ提供:東京カンテイ)